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2024/09/10
店舗から「即配」 24年中に全国で
LINEヤフーと出前館は2024年内に日用品や生鮮食品のクイックコマース(即配)を全国で展開する。出前館に出店している各地域の小売店と連携し、最短30分で商品を届ける。これまでは東京都内を中心に自社倉庫から配送していた。共働き世帯の需要などを見込み、数年内に取扱高100億円を超える事業に育てる。
新サービスは「Yahoo!クイックマート」で、「Yahoo!ショッピング」の通販サイトやスマートフォンのアプリから店舗や商品を選ぶ。8月中に東京都港区や渋谷区など一部地域で始める。提携スーパーやコンビニなどを増やし、対象エリアを全国へ順次広げる。注文ごとに購入額の1%分のPayPayポイントを還元する。
LINEヤフーは22年から「Yahoo!マート by ASKUL」の名称で即配事業を開始。ネット注文専用の自社倉庫「ダークストア」を各地に配置し、出前館の配達員が日用品や食料品を届けるサービスを展開してきた。ダークストアは一時約20カ所まで広がったが、維持費などが課題だったとみられる。
東京都内に残った3拠点のダークストアは8月中に閉鎖し、即配事業は倉庫型から店舗配送型に切り替える。ダークストアの閉鎖で固定費を減らし、全国の小売店と協力して、より安定して利益を出せる体制にする。Yahoo!ショッピングのブランド力やポイント還元を強みに、即配サービスを稼ぎ頭に育てる。
出前館はこれまで自社ブランドでコンビニなどから商品を宅配する事業を展開してきたが、日用品は順次LINEヤフーの新サービスに移す。弁当や総菜など即食系の飲食品の販売に特化するサービスに変え、飲食系に強い企業イメージを強める。
共働き世帯やタイムパフォーマンス(時間対効果)を重視する若年層の増加を背景に、即配市場は成長が続く。調査会社の独スタティスタによると即配の国内市場規模は24年に37億7千万ドル(約5540億円)に上り、29年には61億3千万ドルに拡大する見込みだ。
ただ、参入企業が増え、淘汰も進んでいる。21年に日本に参入した韓国のネット通販大手のクーパンは23年に撤退。日本勢もクイックゲットやクイックエクスペリエンスが23年までにサービスを終了した。フード配送でも、独デリバリーヒーローの「フードパンダ」や中国の滴滴出行(ディディ)の「DiDiフード」も22年に撤退した。